『ダイヤのA actⅡ 外伝』があっという間に最終回を迎え、「act3は?」と期待する人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ダイヤのAの続編はあるのか、今までの作者・寺嶋先生の発言などをもとに考えていきたいと思います。
ダイヤのA act3 続編はある?
まず、長期の週刊連載という形でダイヤのAの続編(act3)が来る可能性はゼロに近いと思われます。
以下、「ダイヤのA actⅡ 」最終話掲載日の寺嶋先生のコメントです。
ここに全ての理由が詰まっています。
今日発売のマガジンに特集と巻頭カラーで最終話載っています。
— ダイヤのA (@diaace_official) October 26, 2022
色んな思いがありますが、これまでダイヤのAを読んでくれた読者の皆さんありがとうございました。
同じプロの方々から頂いたコメントも感激しつつ、しっかり胸に刻みました。(寺)
なので週刊連載でのダイヤのAはここで区切ることにしました。
— ダイヤのA (@diaace_official) October 26, 2022
最後までわがままを聞いてくれた担当さん、編集部の皆さんには感謝しかありません。
とりあえず、東東京の決勝、コミックス作業を終わらせて、これからのことはゆっくり考えます。
最後にバカでギラギラした沢村が描けて嬉しかった泣(寺)
もちろん作者自身がこう書いていても、週刊連載が復活する可能性が絶対ないとは言い切れません。しかし、このポストを見る限りは期待しない方が良いでしょう。
ここからは詳しい理由について考えていきます。
ダイヤのAの連載(続編)が難しい理由
上記のポストが全てと言っても過言ではありませんが、なぜ続編を描くのが難しいか詳しく深掘りして考えていきます。
作者の体力的な問題
寺嶋先生は今年(2025年)で51歳、この年齢でバリバリ週刊連載をされている漫画家もたくさんいらっしゃいます。(例として「ONE PIECE」の尾田栄一郎先生も寺嶋先生と同級生にあたる年齢)
しかし、試合の細かい描写やリアルの野球の進化を取り入れて描く「ダイヤのA」は、高校からプロ野球までの幅広い取材の上に成り立っています。取材と並行しながら、読者を納得させ自分も満足できる原稿を毎週上げるのがどれほど大変なことか、相当な体力が要求されるでしょう。
物語としてのゴール地点に到達した
「ダイヤのA actⅡ」の最終話までに、
- 沢村がエースナンバーを背負って投げた
- 青道が因縁の相手・稲実を撃破
この2つを成し遂げたことで、物語として大きな区切りがついたと思います。
そもそもダイヤのAの始まりは、沢村が地元を飛び出し置いてきた友人の思いも背負って甲子園を目指すというものでした。

それが秋大優勝により春の選抜出場権を獲得。春の甲子園のマウンドに立つ沢村の後ろ姿で最終話が締められました。これが第1部(「ダイヤのA」)の区切りです。
そして第2部(「ダイヤのA actⅡ」)の目標は冒頭で成し遂げたとした
- 沢村がエースナンバーを背負う
- 稲実を倒す
と言えるでしょう。
秋大優勝後に降谷に宣戦布告する沢村の言葉は、正に第2部でのゴール地点を読者にも指し示すかのようでした。

第2部で甲子園出場権獲得したから第3部での目標は甲子園優勝となるのが自然な流れかもしれませんが、ダイヤのAはあくまで主人公・沢村の成長にフォーカスを当て、「全国優勝」というものを作中ではあまり意識せずにきました。
チームとしては全国制覇を掲げていましたが、沢村自身は全国制覇を夢見る、というよりはとにかくエースになることを常に目標にしてたように思います。
ライバルとしても稲実以上に因縁がある相手はいないため、ストーリーのクライマックスを作るのが難しくなるかもしれません。
理想のエース像の変化
目指すべき理想のエースとはどんな存在か。
それが時代とともに変化していることも投手を主人公とする「ダイヤのA」の続編制作を難しくしているのかもしれません。
昨今リアルの野球では球数制限や年々猛威を振るう夏の暑さにより、大事な場面を任せられる投手が複数いることが勝ち上がるのに必要不可欠にすらなっています。まさに青道のような複数の投手を柔軟に起用して負担を分担させ、丹波が言ったように「マウンドに立った者がエース」という気持ちでそれぞれが投げるのは一種の理想形と言えるような時代になりました。
第1部の稲実戦での敗北は、絶対的エースの不在が敗因となりました。勝つためには成宮のようなチームを背負える絶対的エースが必要なのだと。そして、沢村もエースになることを目標に努力を重ねてきました。しかし、もはやその「目指すべきエースのあり方」が変わってきているのです。
実際にダイヤのA actⅡ34巻のあとがきにて、寺島先生も以下の言葉を綴っています。
(前略)エースが一人で投げ抜くチームも現実味がなくなりつつある。
ダイヤのA actⅡ 34巻 あとがき
投手を主人公とするダイヤのAにおいて「エースとは」という問いは物語の最も重要な要素とも言えます。
こういったリアルの野球における変化が、これまでの物語の延長線上に沢村栄純という1人の投手のゴールを描くことを難しくさせているのかもしれません。
作者の手から飛び立っていった選手たち
同じくダイヤのA actⅡ 34巻のあとがきで以下のようにも語られていました。
(前略)この決勝戦でコントロール不能になったキャラクターたちをもう一度作者の作者の小さな器に入れてまで続ける必要があるのか…
ダイヤのA actⅡ 34巻 あとがき
そう考えるようにもなっていきました。
沢村をはじめ、選手の成長を見守れるのがこの作品の良さでもあります。しかし、その成長の果て、これまでの全てを賭けた試合をやりきった選手たちは、遂に作者の制御からも外れたようです。
時代の変化も取り入れながら、これまでの成長過程も加味しつつ、選手たちのこの先の未来を描くためには連載開始から時間が経ち過ぎてしまったのでしょう。
今後は読者の想像の中で、時代の進化とともにどこまでも成長を続けていくのかも知れません。
そのため、今後青道の試合を外伝のような形で描くことがあっても、試合進行を淡々と描くような形式になることも予想されます。
沢村がどんな投手を目指していくかという内面的な部分や、進級後ましてや卒業後にどのようなスタイルで活躍しているかという詳しい様子が描かれることは期待しない方が良いかもしれません。
月刊連載の可能性も低い
「体力的な問題を解決できるなら、月刊誌で連載するのは?」という意見もあります。しかし、
- 試合の展開を丁寧に描く
- リアルの野球の進化を取り入れる
これらの特性を考えると、月刊誌では試合の進行スピードが遅くなり、リアルの野球との乖離がさらに大きくなってしまうでしょう。
科学的技術の発展などで、近年のスポーツの進化はめざましいものがあります。選手のレベルやルールの変化に沢村たちが置いていかれてしまうことを、寺嶋先生のプロ意識が許せないのかもしれません。
そのため、長期的な月刊連載も厳しいと考えられます。
それでも、あの熱量やドラマをもう一度味わいたい──。
そんな想いを抱えているダイヤのAファンの方向けにおすすめ野球漫画も厳選しました。
ダイヤのA actⅡ 外伝のような番外編はあり得る?
連載完結あたりから「どこかで描く」と言われてきた帝東vs鵜久森が外伝として全10話で短期集中連載されました。
「ダイヤのA」としては2022年10月26日の最終話から約2年ぶりの更新です。
これ以外にいつか描くと宣言されていたような話は、筆者の調べた範囲ではありませんでした。(もしどこかのインタビューで発言していたなど何か情報あれば教えていただけると嬉しいです)
しかし、これまでもいくつかの番外編が描かれています。
これらは青道メンバーの過去や、本編では描き切れなかった部分を補うような、試合の描写ではなくキャラの内面に迫るストーリーが多いです。
これに倣って今後読み切りでの番外編や外伝のような短期集中連載が掲載される可能性は十分あると思います。こういった形での更新なら、前章で連載ができない理由に挙げた問題をカバーすることができるでしょう。
寺島先生は2024年4月に「KING’S ROAD」というボクシング漫画の読み切りを発表しています。
こちらから無料で読めます↓
https://yanmaga.jp/comics/KINGS_ROAD
稲実に勝利し甲子園出場を決めた後日、前園が「真っ白な灰になりたい」超有名ボクシング漫画「はじめの一歩」を意識した発言をし、作品名も口に出していました。寺嶋先生にはこの時からボクシング漫画を描く構想や願望があったのかもしれませんね。
ダイヤのAの連載開始前には「GIANT STEP」というテニス漫画も連載しています。
1巻半額なので試し読みからでもぜひ。主人公の見た目が少し似ているからと沢村っぽいな〜と重ねて読むと冒頭から火傷する可能性があるので注意。
スポーツでの熱い闘志を描くのに定評がある寺嶋先生なので、今後野球から離れまた違ったスポーツ漫画などを月刊で連載する可能性はあるかもしれません。
寺嶋先生は大の音楽ファンなので、個人的にはバンドなど音楽を題材にした漫画も面白そうだと思っています。
2025年のマガジンで連載中の野球漫画「スルガメテオ」とのコラボでは「お互い頑張りましょう」というコメントも送っています。建前かもしれませんが、「お互い」とあるので寺嶋先生自身も今後何かしら漫画の執筆は続けるのではないでしょうか。
今後ダイヤのAに外伝や番外編がくるとしたら
今後ダイヤのAに番外編がくるとしたらどんな話がくるか、過去の番外編を参考に予想もとい妄想してみました。
- 結城兄弟の過去
小学生では同時期に同じチームでプレーしていたこともあるのかなと。弟・将司は春市のように兄・哲也の背中を追ってきたのか、それとも我が道を行くスタイル故にあの自信なのか、気になります。 - 東条・金丸のシニア時代
マウンドに立ち向井と白熱した投げ合いを演じる東条、見たいです。金丸はシニア時代もキャプテンだったのかも気になります。 - 卒業した先輩ズの大学生活
亮介は何やら先輩とトラブってるとのことでしたし、関西人に揉まれる伊佐敷も、水を得た魚のように野球を楽しんでクリスも見たいです。格闘技始めそうだった宮内が主人公の格闘漫画が来たりして。 - U18編
34巻描き下ろしで御幸が召集されたと判明したU18。試合の様子はダイジェストになるとしても、あの世代のトップ選手が集まってチームとして動いてるのを見たいです。自国の代表として選抜された楊舜臣と再度対峙なんてのもあり得てほしい。
進級後の沢村たちの様子など、見てみたい話はいくらでも湧いてきますね。
皆さんはどんな番外編が見てみたいですか?
「ダイヤのA actⅡ」の情報も元にアップデートしたガイドブックなどが出版される時に描き下ろしで収録、なんてことがありえるかもしれません。
今後アニメの続編も控えているので、まだまだ「ダイヤのA」が盛り上がって新しい話が読める機会があることを願うばかりです!
まとめ
- 週刊連載でのact3(続編)は絶望的
- 取材と並行など、体力的な問題
- ストーリーや今後のゴール設定の問題
- 現実の野球の変化
- 月刊連載も現実の野球との乖離が大きくなり難しい
- 番外編など読み切りや短期連載なら上記の問題をクリアでき期待あり
こうは書きましたが、筆者としても週刊連載でact3が読めたらそれ以上に嬉しいことはありません。
連載が終わってから時間も経ち、その間にもたくさんの野球漫画が生まれている今でも続編を待つ声が上がるのは、やはり「ダイヤのA」がそれだけ素晴らしい作品だからだと思います。
結果的に連載は終わりましたが、各校の新1年生、巨摩大藤巻へのリベンジなど続編に繋げられるように準備しながら第2部を描いていたのは確かでしょう。
今後もアニメ続編が控えており、まだまだ作品が盛り上がる余地は残されています。公式からの情報を待ちつつ、気づいた時にマガポケで「ダイヤのA」に👍ボタンを押すだけでも続編への一歩となるかもしれません。
筆者も続編を希望する1人のファンとして、今後もダイヤのAに関する記事を書いていく所存ですので気が向いたらまたぜひ遊びにきてください。
スポーツ記事風に書いてみたりもしてます↓
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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